サンプル企業の診断結果を見てみましょう。
経営機能別会計を軸に、経営資金の形態変化に焦点を当てつつ資金循環課程の動態を分析することにより、経営の有機的診断を可能にするものです。
本システム設計に当たり「診断者の誠意とパッションが受信者の共感を引き出し、ともに悩み、考え、創造性と新たな戦略をはぐくんでいけるような経営診断でありたい」と願っております。
損益概念優先の第三者報告を目的とした企業会計制度そのものに、会計情報の戦略的活用を期待することは出来ません。企業会計の課題は、経営者自信による損益構造分析に加えて、資金形態の諸変化に対応した経営コントロールを行いながら、日々の経営に絶え間の無いインセンティブを与え続けることにあります。
トリオバランス経営診断システムのコンセプト
企業が破綻をきたす原因は、赤字そのものではなく、その多くが資金収支バランスの不調であることが知られています。利益=資金という等式が必ずしも成り立たない慣習的な会計では、資金の経営コンセプトを見失う可能性があるのです。財務諸表の数値からは、必ずしも貨幣としての資金情報は提供されないと言えましょう。(最近、財務諸表に、資金計算書、事業部門別会計情報を添付・開示すべきであるという議論がなされるようになりました。)
中小企業経営者は極めて現金主義的な感性に基づいて経営活動を行うのに対し、会計制度は、収益実現・費用発生主義に基づく損益計算結果を分析の基礎においているため、「利益」は資金収入そのものを意味せず、「損失」も資金支出を意味しません。期間会計計算上の「当期利益」は「資金残高」とは無関係です。
企業活動の中心となる損益概念は、基本的には資金収支を伴いますが、"モノ"と資金交換が同時に行われないのです。資金が一時的に交換未完了のタイムラグを作り出すことにその原因があります(売掛金・買掛金)。
この交換未完了資金を現実の(リアルな)資金として直接経理する方法はありませんが、間接的に、資金取引高は在り高として貸借対照表上に存在し、在り高増減額とイコールとなる原則を持ちます。トリオバランス経営診断ではこれを"見えざる経営資金"と考えます。
すなわち、交換未完了の"見えざる経営資金"を"見える資金"として析出し、その合理的コントロールを可能にするような経営管理手法を確立することこそがトリオバランス経営のコンセプトなのです。
資金は、「資産」・「負債」・「資本」に整理されています。私たちは組織的な資金運動が経営活動そのものであるという視点に立ち、広義の"資金"概念でこの組織的資金活動を捉え直し、経営資金循環の有機的均衡を念頭に置きながら日々の経営を検証すべきなのです。トリオバランス経営診断はキャッシュフロー(現金主義)概念に基づく経営診断です。
トリオバランス経営診断の目的
損益とは
売上高 - ( 売上原価 + 経費 ) = 利益
資金収支とは、 売上収入 - ( 売上原価 + 経費支出 ) =利益資金
という式で定義できます。
しかしながら、この利益高と利益資金とがなぜイコールとならないのかということを財務諸表では説明できません。
黒字倒産が何ゆえに発生するのか、"勘定足りて銭足らず"という現象が何に起因するのか、財務諸表間理論にもその答はありません。
また、資金運用表を作成しても、資金の経路と期末現金預金残高の増減を確認できるだけで、経営の実際の経緯について説明することは出来ません。
「流動比率」「正味運転資本」は交換未完了資金残高の平面的な観察方法であるに過ぎず、肝心な"期中の資金量の動き"を説明することは無いのです。「正味運転資本」が当期の利益にどのように係わり合い、どの程度寄与したのかが明らかにされなくてはなりません。
経営成果として増殖していく経営資金の態様について、マネジメントの現場でまず経営者自身が認識していかなくてはならないのです。
流動資産、固定資産運用を目的に調達された資金を、動態的に検証してみると、"組織的な連続運動"の存在が見て取れます。 すなわち、利潤最大化を目的として「商品原材料仕入れ」→「製造加工」→「製品在庫」→「販売」→「回収」→「支払い」といった資金循環が生じ、経営資金は増殖していくわけですが、トリオバランス経営診断システムは、この資金循環運動のリアルタイムな推移を追跡します。
この視点に「労働生産性」・「投下資本効率」・「損益構造分析」を加味することによって、より実践的な個別管理を実現することが可能となるでしょう。
モデル企業の決算書
貸借対照表
(単位百万円)
| 借 方 | 金 額 | 貸 方 | 金 額 |
|---|---|---|---|
| (流動性資産) | (2,287) | (流動負債) | (1,939) |
| 現金預金 | 141 | 支払手形 | 531 |
| 固定性預金 | 357 | 買掛金 | 92 |
| 受取手形 | 1,073 | 短期借入金 | 1,259 |
| 売掛金 | 394 | その他流動負債 | 57 |
| 商品 | 261 | ||
| 前払金 | 41 | (固定負債) | (577) |
| その他流動資産 | 20 | 長期借入金y | 577 |
| (固定資産) | (635) | (諸引当金) | (100) |
| (有形固定資産) | (578) | 諸引当金 | 100 |
| 土地建物 | 556 | ||
| 償却資産 | 22 | (資本勘定) | (306) |
| (投資勘定) | (53) | 資本金 | 70 |
| 投資勘定 | 53 | 余剰金 他 | 161 |
| (繰延勘定) | (4) | 当期利益 | 75 |
| 繰延勘定 | 4 | ||
| 合計 | 2,922 | 合計 | 2,922 |
損益計算書
(単位百万円)
| 科目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 2,497 |
| 売上原価 | 1,741 |
| 期首商品 | 226 |
| 仕入高 | 1,776 |
| 期末商品 | 261 |
| 売上総利益 | 756 |
| 一般管理販売費 | 556 |
| 人件費 | 241 |
| 正味金利 | 119 |
| 減価償却 | 6 |
| 退職引当金 | 7 |
| その他営業費 | 183 |
| 営業利益 | 200 |
| 営業外収入 | 2 |
| 営業外支出 | 5 |
| 経常利益 | 197 |

※資金運用表分析
(単位百万円)
| 1、資金の源泉 | 218 |
| 長期借入金の増加 | 113 |
| 資本勘定の増加 | 45 |
| 余剰金の増加 | 60 |
| 2、資金の使途 | 132 |
| 土地建物の増加 | 130 |
| 償却資産の増加 | 2 |
| 差し引き運転資本の増加 | 86 |
| 3、運転資本増減明細 | |
| 現預金の増加 | 37 |
| 売上債権の増加 | 144 |
| 棚卸資産の増加 | 35 |
| その他流動資産の増加 | 259 |
| 仕入債務の増加 | 56 |
| 短期借入金の増加 | 124 |
| その他流動負債の減少 | △7 |
| 流動負債の増加 | 173 |
| 差し引き運転資本の増加 | 86 |
貸借対照表、損益計算書を中心とした財務診断・信用分析は、資金の運用効率面にウエイトがおかれ、管理経営的な色彩が強く、企業内の人間同士の共同作業の結果が「資金運用」という形で表現されるため、財務診断で得られる数値は静態的・平面的であるといえるでしょう。もっとも会計学自体、"在り高概念"を基本とする概念です。
トリオバランス経営診断は、この点を重視し、より幅広い「資金概念」に基づいて、貸借対照表に集約された数値を「交換未完了資金」として分析することにより、従来の財務診断では言及できなかった正味キャッシュフローの実数を観察し、人間同士の共同作業のプロセスや経営活動の定性、マネジメント能力などを有機的に検証することを目的に開発されました。


a). 営業在り高資金ゾーン b). 利益管理資金ゾーン c). 別個在り高資金ゾーン
…所要資金グループ(借方科目)
…調達資金グループ(貸方科目)
d).資金効果ゾーン
…現金預金グループ 資金成果欄…外部金融グループ
e). 営業収益計算は、損益活動 と 資金活動に分解します。
f). 在り高増減は、期首貸借対照表の在り高に値する期末在り高の増減額です。
※ 期末売掛金 - 期首売掛金 = 在り高増減
| 資産の増加・負債及び資本の減少 = 資金▲マイナス |
| 資産の減少・負債及び資本の増加 =資金 プラス |
資金運用原則
(単位百万円)
| 期首 | 期中活動 | 期末 | 損益活動 | 資金活動 | 在り高増減 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 調達資金 | 335 | 108 | 463 | 108 | 108 | |||
| W 資金効果 | 現金使途 | 当座性預貯金 | 137 | 4 | 141 | △4 | △4 | |
| 固定性現金 | 324 | 33 | 357 | △33 | △33 | |||
| (合計) | 461 | 37 | 498 | △37 | △37 | |||
| 資金成果 | △40 | △237 | ||||||
| 金融 | 短期借入 | 1,135 | 124 | 1,259 | 124 | 124 | ||
| 長期借入 | 464 | 113 | 577 | 113 | 113 | |||
| (合計) | 1,599 | 237 | 1,836 | 237 | 237 | |||
| 総資本 | 1,521 | 2,922 | ||||||
求める経営実態の本質は「資金成果欄」に現れます。モデル企業の経営診断表をご覧ください。「資金成果」は△40(百万)となっています。
損益計算書には経常利益197(百万)を計上しているにもかかわらず、今期の経営努力の正味の成果は結局赤字△40(百万)という結果に終わっているという意味です。
即ち、経常利益は架空の利益にすぎなかったのであり、この企業は今期、"勘定足りて、銭足らず"の営業結果に終わっていたことが明らかになりました。
この企業は、今期大型のプロジェクトを行いました{固定資産投資130(百万)、資本金増資45(百万)、長期資金113(百万)}。そして、前年期以前に本業たる事業部分で、大きく在高バランスを崩していたことがわかります。
経営戦略、営業政策、組織管理が充分でなかったため、社内資金の消費へつながったのです。正味の在高増減は△237(百万)となっています。そのため、財政的に借入金増加をその分だけ増やさざるを得ませんでした。
経営資金量を実数として体系的に把握しなければ、真の戦略を生みだすことは不可能です。
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